【リリラボ #6】実は「ネタ曲」を書くのが一番難しい ~岡崎体育ってすげえ~

こんにちは、リリラボライターのハラコウサクです!

もう1月9日になってしまいました。
今更ですが、あけましておめでとうございます。
2020年一発目の記事でございます。
本年もリリラボとACAPPELLER.JPをどうぞよろしくお願いいたします。

さて、新年一発目に取り上げるテーマは、いきなりの変化球です!(笑)

新曲出すたびにバズるあの人

今回取り上げるのは、ここ数年で何曲もの「バズり」曲を生み出し続け、
さらには様々なアーティストへの楽曲提供、
アニメ・CMなどのタイアップも多数担当と、
着々と一流アーティストの階段を登り続けている、
岡崎体育」です!

出身地の京都盆地に由来する「盆地テクノ(BASIN TECHNO)」を掲げ、
地道なインディーズ活動を経て、2016年メジャーデビュー。
その才能とセンス、また研究・計算されたサウンドは、
ここ数年のJ-POPアーティストの中では間違いなくトップクラスです。

ネタ曲ヒットメーカー

『MUSIC VIDEO』

岡崎体育といえば、まずはこの曲『MUSIC VIDEO』ですね。

J-POPのミュージックビデオでよく使われる演出を、
いわゆる「あるあるネタ」としてまとめあげた作品です。

2016年リリースのこの曲がインターネット上で話題に、つまり“バズった”ことで、一躍時の人となります。

『感情のピクセル』

そして、さらに知名度を押し上げたのがこの曲『感情のピクセル』でしょう。

ラウドロック、エモ・スクリーモのような激しいサウンド、
それと相対する力の抜けるようなほんわかした歌詞をサビに乗せ、
曲の終盤は伏線回収も忘れないと言う、
実に計算されたネタ曲です。

この曲で岡崎体育を知ったと言う人も多いのではないでしょうか。

このように、ネタ曲のイメージが強い岡崎体育ですが、
その楽曲はJ-POPを長い時間をかけて研究し、計算されたことで生み出されています。

キャッチーで親しみやすいサウンド

岡崎体育の楽曲は、どれもサウンドやメロディー、歌詞がキャッチーで、
親しみやすいものが多いのが特徴です。

『なにをやってもあかんわ』

なにをやってもあかんわ”という、
ボヤキのような一言をあえてサビのパワーワードに据え、
3分弱の軽快なパンク・サウンドにのせた作品です。

テーマの身近さとキャッチーさ、さらに「腹太鼓ダンス」の真似しやすさなどが相まって、
TikTokなどのSNSでバズり、2019年のTikTokで最も使われた楽曲になりました。

『体育の日のままでいいやん』

こちらは、昨年10月14日、
国民の祝日の一つである「体育の日」が、2020年から「スポーツの日」と改称されるため、最後の「体育の日」に、岡崎体育がTwitterに投稿した動画です。

自分の名前を冠した祝日がなくなってしまう悲哀をわかりやすく簡潔に、
また「変えて欲しくない理由がそもそも結構利己的」と自虐も挟みつつ、
シンプルなビートに乗せて、たった48秒にまとめ上げています。

Twitterにしか載せない、またおそらくCDなどには収録されない、
言ってしまえば「余興」の楽曲でも、
ここまでの作品を作り上げてしまう。
まさに天才です。

ネタ曲だけだと思ったら大間違い

そんなネタ曲の申し子とも言える岡崎体育ですが、
彼の才能が「面白さ」ではなく「曲そのもの」に全振りされたら。
とんでもなくかっこいいんです。

『スペツナズ』

インディーズ時代の作品です。
ロシアの特殊部隊「スペツナズ」をテーマに、戦争や争いの哀しさを、
情景がはっきりと浮かんでくる言葉で表現しています。

スウェイを何度重ねれば 空が見えるの

Cメロ最後のこのフレーズ。
スウェイ=支配者が何度何人変われば、戦火の煙が晴れ、青空が見えるようになるのだろう。
このワンフレーズだけで、争うことの理不尽さが伝わります。

『龍』

最新アルバム「SAITAMA」に収録された、
優しいピアノにのせて歌う、寂しくもあたたかい曲です。

これは、きっと作った本人にしかわからない表現や言葉がたくさんある曲なんだと思います。

27歳までにメジャーデビューすると宣言し、26歳10ヶ月で達成。
30歳までにさいたまスーパーアリーナでワンマンライブをすると宣言し、29歳11ヶ月で達成。
センスだけでなく、努力と熱意の人なんです。

今回分析する歌詞は…

さて、そんな岡崎体育の数ある楽曲の中で、
今回歌詞を分析する曲はこちら!
「トロッコにのって」

昨年行われた、目標としていたさいたまスーパーアリーナでのワンマンライブで初披露された楽曲です。

『トロッコにのって』

!!!!!!!!注意!!!!!!!!
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!ATTENTION!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

下記の歌詞分析に重要なネタバレが含まれているため、下記の歌詞分析を読む前に、この曲の動画を必ず最後までご視聴ください。

はい。ご視聴いただけましたでしょうか。

何度も言いますが、必ず動画を最後までご視聴いただいてから、この後の歌詞分析をご覧ください。

 

 

 

 

 

 

  

いいですね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後まで見ましたね??

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大丈夫ですね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

では、話を進めます。

曲をまさかの「〇〇〇〇」

そうです。〇〇〇〇に入るのは「使い捨て」です。
目次でのネタバレを防ぐため、伏字にしました(笑)

完全にこのライブでの初披露時しか成立し得ない歌詞です。
おそらく今後CD収録などの予定もないはずなので、
このライブだけのために作られ、今後一切活躍の場がない、
「使い捨て曲」なんです。

では、細かく分析していきましょう。

A・Bメロ①

笑顔が光る ほらキミの瞳にひまわりが咲いたね
自然と僕も 君につられてニッコリ笑う

もっともっと近くに ギュッと抱きしめてみせるよ
今 移りゆく時の中で出会えたね

コンセプトは「ジャニーズっぽいアイドル感ある曲」だと思われます。
トロッコに乗って客席の間を周ると言う演出は、ジャニーズのライブでよく見られます。

1番A・Bメロは、あくまでも「前振り」です。
しかし、明らかに今までのCDやライブで聴いたことのないサウンドとメロディーに戸惑ったファン同士で、「この曲知ってる?」と囁き合うことのできる時間が十分にとられています。

また、曲を聴き込んできたファンなら「なんかくるぞ」と察することのできるような、岡崎体育らしくない当たり障りもなければ何のヒネリもない歌詞。
巧妙。実に巧妙です。

サビ①

てゆうか

みんなが全然知らない曲でトロッコ周んな
今日初披露の曲で周るから客の反応がイマイチ
誰一人聴いたことのない曲でトロッコ周んな
なめとんかワレ

正直、ここがこの曲の大オチです。

ノリツッコミですね。
完全に全員知らない曲を初披露するのに、
知っている曲じゃないとあまり盛り上がらないであろうトロッコ演出をしている自分に対してのノリツッコミです。

とんでもなく優しい声と笑顔の「なめとんかワレ」が最高です。

Aメロ②

気持ちを音に乗せて
ほら 誰も手拍子できてない
声高らかに歌おう (イェー イェー イェー)
ほら 誰も歌えてない

手拍子とコールアンドレスポンス。
絶対にこの流れを知っていないとできないことを、
知らない曲でいきなりやる。
観客への「無茶振り」ですね。

観客がみんな、頑張ってちょっとついて行こうとしてるのが逆にめちゃくちゃ面白いですよね。

Bメロ②

尺を合わせるためにバックして戻っております
ただいま またここで会えたよね

ここでいわゆるメタ発言的な要素が出てきます。
この「尺合わせ」も、さいたまスーパーアリーナの構造上でのタイミングを図って設けられた場面なはずなので、
さいたまスーパーアリーナでの初披露時しか使えない曲という限定的条件をより強くしています。

サビ②

僕らの奇跡をみつけたんだ愛の中で
だけど言葉に隠した本当の気持ちは 伝わらないまま
どんな困難も乗り越えられるさ 君となら
All that ends well is well

さあ、見た目にはやっとまともな歌詞が戻ってきました。
しかし、ここは岡崎体育は歌わず、観客に「歌ってー!」と振ります。
サビ歌詞を観客の大合唱に委ねるという手法は、かなり多くのライブで見られる手法です。アカペラのライブでも時々見られます。

しかし、この曲を知っているのはこの会場で岡崎体育ただ一人。
当然だーれも歌えません。

ただ、岡崎体育のライブでは、歌詞がステージ上のスクリーンに表示されるという仕組みがとられています。
そのせいで、観客はみんなさっき一度だけ聴いたサビのメロディを思い出しながら、表示された歌詞を必死に当てはめて歌おうとします。
しかし、この2番サビ。憎いことに1番とは絶妙に言葉と拍のタイミングをずらした歌詞になっています。
こういう地味〜なイジワルも巧妙です。

ちなみに、最後の英語部分の意味は、
「終わり良ければ全て良し」だそうです。やかましいわ。

Cメロ〜ラストサビ

みんなが知ってる曲でトロッコやれや
みんなが知ってる曲でトロッコやれや
みんなが知ってる曲でトロッコやれや
みんなが知ってる曲で

だから
みんなが全然知らない曲でトロッコ周んな
今日初披露の曲で周るから客の反応がイマイチ
誰一人聴いたことのない曲でトロッコ周んな

これを良しとするな

最後にしっかりもう一度自分にツッコミを入れる意味で、
ラストサビは1サビと同じ歌詞になっています。

そして、最後に強烈な一言。
これを良しとするな
岡崎体育自身も、ある意味タブーな手法だとわかってやっているんでしょう。

さらにとどめの一発。
アウトロのタイミングに合わせてサイリウムを振る演出を、
さもみんな知っているかのようにやって終わらせる。
観客のサイリウムの動きが、「ついていけてない感」MAXです。

ネタ曲だけはマジで書くのむずい

さて、このコラムは「リリラボ」ですから、
作詞をするという観点から解説もしなければなりません。

ここでできる解説はただ一つ。
タ曲はマジで笑いのセンスないと無理」
これに尽きます。

ネタ曲として作る以上、披露した時にスベったら一巻の終わりです。
なので、非常に残酷ですが、「笑いのセンス」が必要になってきます…

笑いを生み出す技術について解説するスキルは、
私ハラコウサクは全く持ち合わせておりませんので、
今回の解説は、「ネタ曲は書くのむずいぞ」で終わらせていただきたいと思います。申し訳ありません。

僕は以前、試しにネタ曲っぽいものを書こうとしたことがありました。
しかし何にもいいもの思い付かなくって、
最後にはよくわかんない下ネタ入れ始めちゃったりして、
見るも無残なことになりました。

笑いのセンスに自信のある方は、
ぜひ挑戦してください。
本当に面白いものが書ければ、
バズって時の人となるのも夢ではないかもしれませんよ!!

というわけで、第6回でした。
また次回のリリラボでお会いしましょう。

岡崎体育ってすげえ。

リリラボ

解説リクエスト

「この曲の歌詞を解説してほしい!」というリクエストは、公式Twitterまでお待ちしております。

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今回のライター

ハラコウサク
acappel.love/vega_hanrock
twitter.com/vega_hanrock


※ここでの解説・分析は、ライター独自の解釈によるものです。アーティストご本人の意向とは異なる場合がございますのでご了承ください。