アレンジャーが、アレンジで対価を得られる環境をつくる

あかぺらぶ。が現在の形になってから初めて記事投稿をします。

King of Tiny Room(以下「KTR」)という団体の代表をしております、齋藤 龍(さいとうりゅう)と申します。
どうぞよろしくお願い致します。

各種SNS等やっておりますので、プロフィール欄( acappel.love/drash5296 )に掲載しておきました。
良かったらご覧頂けますと幸いです。

「あかぺらぶ。」の開発は、KTRのクリエイティブディレクターをしてくれているよっさん( twitter.com/_yoshidaaa )が全面的に進めてくれました。
(開発の詳細については、よっさんの投稿した記事( acappel.love/creative/1837 )をご覧ください)

今回は、アカペラにおける「アレンジャー」、そして「楽譜」について、多角的に考えていきたいと思います。

 

 

アレンジャーって何をしてるの?

アカペラをする上で、プロの曲をやるとかでない限りは、自分達で楽譜の製作からすることになると思います。

そんな時に、実際に頭で演奏を考えて、手を動かして楽譜を製作したりするのが、「アレンジャー」と呼ばれる人達です。

やる曲によっても、作る人によっても、アレンジ自体に費やす時間は様々で、速い人だと2〜3時間程度で完成させてしまう人もいれば、数週間〜1ヶ月以上の期間をかけて、モチーフの生み出しからじっくり製作する人まで様々だと思います。

この「アレンジャー」と呼ばれる人達、一般的に音楽的知識にある程度精通していることが求められると思いますが、必ずしもその全てを体得しきっているわけではなく、実際にアレンジを進める上で少しずつ知識を身につけていくことの方が多いように感じます。

実際に私もアカペラ楽譜のアレンジをしてきましたが、新しい楽譜を書くにつれ、その曲に応じて自分の頭の中に生まれた表現を、バンドメンバーが少しでも理解しやすい形で楽譜に起こすために、様々な表現(スタッカート、アクセントなど)・強弱(クレッシェンド、フォルテなど)の記号を用いたり、練習の効率化をするために「リハーサルマーク」や「複縦線」をつけるようになったり、ブレスの位置やフレーズ感の共有を楽譜上で共有する為に「スラー」と呼ばれる線を入れたりと、少しずつ技術を身につけていきました。

こうした技術のほとんどは、バンドメンバーにとってわかりやすい楽譜になるだけでなく、楽譜そのものの見やすさにも大きく影響します。

 

「浄書」= “楽譜のお化粧”

私も後々知ったことですが、これらの一連の作業は、楽譜を見やすくするという意味で、楽譜の「浄書」と呼ばれる作業に当たります。

この浄書の技術が、アレンジャーのランクを決定付けている、と言っても過言ではないと、個人的には思っています。

というのも、素敵な和音構成や表現がある楽譜には、必ずと言って良いほど浄書が施されており、逆に言えば浄書がしてある楽譜は、一定のクオリティが担保されていると言えます。

プロアカペラの楽譜を含め、出版された楽譜を演奏したことがある方ならわかると思うのですが、とても見やすい楽譜になっていることが多いと思います。

これは、紛れもなく浄書を施しているからであり、それにより、その楽譜はパワーアップしていると言えます。

まさに、楽譜にとって浄書は「お化粧」そのものだと思います。

浄書によって楽譜の粒度が高まり、より豊かな表現で歌えるようになります。

 

「浄書」は一日にして成らず?

冒頭でも述べたように、浄書の技術は極めて多岐に渡る為、その全てを網羅することは非常に難しいと思います。

私自身は、知識として全てを網羅する必要はないと思っています。
それよりも、自分の頭の中にある表現を楽譜に起こすとどのような形になるのかを自分で調べることができる技術の方が何倍も大事だと思っています。

これはあらゆることにも繋がると思うのですが、わからないことを自分で調べる能力(ここでは「自走スキルといいます)はとても重要です。

そして、積極的にアレンジをしている人は、ほとんどの場合、この”自走スキル”を持っているように感じます。

もちろん、アレンジャーでない人が自走スキルを持っていない、というわけではありませんが、アレンジャーは必ず、アレンジをする上で「迷う」ことがあり、その時に何かしら調べると思います。

そうした行動の積み重ねが、ここでいう”自走スキル”に繋がっていて、見やすい楽譜を作る技術=浄書の技術が身についていくと思っています。

 

「スキル」で売れる時代

ここまでタイトルとはほぼ関係ないことを書いてきましたが、ようやく本題です。

アレンジにおける様々な技術を身につけたアレンジャーは、本来、それだけで価値のある存在になっています。

そしてインターネットの普及により、楽譜をWebで販売することも可能になりました。

しかしながら、対価を受けてアレンジをしたり、販売されている楽譜を購入することについては、まだまだ一般的ではないのが現状です。

KTRでは、敢えてビジネスとして「アレンジ依頼」を承っています。

これは、アレンジャーの立場から見た地位向上の目的もありますが、アカペラに携わる全ての人に、演奏の指標となる「楽譜」の有用性を再認識してもらうためでもあります。

KTRパートナーアレンジャー

2019年10月19日現在、KTRには12名の「パートナーアレンジャー」と呼ばれる人達がいます。

彼らは、KTRが受注したアレンジ依頼を代わりに請け負ってくれる、KTRにとって極めて貴重な存在で、King of Tiny Roomが最も大事にしている繋がりの1つです。

パートナーアレンジャーはそれぞれ 、自分の強みを生かしたアレンジをしてくれています。
(いずれパートナーアレンジャーの紹介記事も書きたいなと思っています)

浄書のスキルも全員一定以上持っており、質の高い楽譜を安定して書いてくれています。

上記の理由から、KTRがアレンジ依頼によって受ける収益のほとんどは、パートナーアレンジャーへ還元しています。

KTRは、アレンジャー3人により設立した団体のため、アレンジャーの価値は、3人ともよく理解しています。

「King Score」への楽譜出品

私たちKTRは、パートナーアレンジャー以外にも、アレンジャー自身が、自分の力で対価を得られるプラットフォームを作りました。

それが、「King Score( score.kingoftinyroom.net/ )」と呼ばれるWebサイトです。

このサイトは、アレンジャーが自分でアカペラ楽譜を出品・販売できるプラットフォームを提供するサービスで、今日までで137曲のアカペラ楽譜がアップロードされています。

まだまだ流通量も小さいサービスですが、将来的により多くの方々に利用してもらえるよう、これからも安定した運営と、販売者・購入者双方にとってより使いやすいサービスになるよう、随時ブラッシュアップをしていく予定です。

誰でも登録できるので、まずはお気軽に利用者登録をしてみてください。

 

アカペラに携わる人が、少しでも楽しく活動できるように

KTRがやっていることには、一貫した想いがあります。

それは、KTRのWebサイトのトップページにも書いてある「アカペラしやすい環境づくり」です。

これを達成する為に、今も様々なアプローチを試みています。

最近だと、”歌わないアカペラサークル”「ACAPPELLER.JP( acappeller.jp/ )」を正式にリリースし、沢山の方に入会して頂きました。

毎日のように、アカペラに関していろんな議論やアイデア出しなどがされていて、私自身も、見ているだけでとても学びや気付きの多いサークルになってきています。

私個人としては、こうした活動の1つひとつを通して、少しでも多くの人とアカペラの楽しさを共有できるような環境づくりができたら良いなと思っています。

自分自身は、おかげさまで、毎日楽しくアカペラを続けられています。

その権利は本来誰にでもあるものだし、そう思ってもらえる人が少しでも増えることによって、KTRのモットーが形になります。

今回は「アレンジャー」に視点をおいて、アレンジャーが楽しく活動するための1つの例として、「アレンジで対価を得られる環境」について書いてきました。

沢山の人がアカペラを通じて楽しさを分かちあえるよう、これからも発信を続けていきます。

最後まで読んでくれて、ありがとうございました。

また次の記事で、お会いしましょう!