アマチュアアカペラでもオリジナル曲をやるのが普通になってほしい話の続き

こんにちは。ハラコウサクと申します。
個人アカウントでは久しぶりの記事でございます。

前回の記事を書いてから、様々な御意見をいただきました。
今回は、主な御意見の紹介と、
それらを踏まえたいまの僕の考えを書きたいと思います。

※前記事「アマチュアアカペラでもオリジナル曲をやるのが普通になって欲しい」
( acappel.love/other/1871 )

いただいた御意見まとめ

前回記事を書いてから今日までの間に、
実際にお会いして、またネット上で、いろんな方に御意見を伺いました。

お名前を伏せていくつかご紹介したいと思います。

ちなみに、基本的にはみなさんに前回の記事をご紹介した上で
アマチュアアカペラでオリジナル曲を演奏することについて、どう思うか
「これからプロジェクトを進めていく上で御意見を参考にさせていただきたい」
というようにお伺いしました。

賛否両論、だったけど

今回僕は、
現在のアマチュアアカペラ界で活躍されている方を中心に意見をお伺いしました。

賛否両論ありましたが、
正直に言うと、圧倒的に消極的な意見が多かったです。

どちらの意見もしっかり紹介していこうと思います。

やりたい人はやるべき

みなさんに共通していた意見として、
やりたいひとはやればいいという点がありました。

「音楽において、何をやろうと自由というのは大前提」
「クリエイター気質の人はやりたいと思うかもしれない」
「楽器が弾けない人でも、知識をつければアカペラの作曲編曲作詞はできる」
「もっと言えば、作詞は誰でもできる」

作詞曲のもつ魅力

今回お話をお伺いした方の多くが、
過去にオリジナル曲をアカペラバンドでやったことがある、
もしくは現在もライブで演奏する、
といった経験をお持ちでした。

オリジナル曲を作って歌うこと自体はとても魅力的だというご意見が多かったです。

「十数年前は全国のいろんなアカペラグループがオリジナルをやっていて、いろいろな大学の先輩グループが集まってアカペラのオリジナル曲を集めたCDなども制作して販売していた」
自分が作った曲をたくさんの人に聴いてもらうということにとても幸せを感じていた」
オリジナル曲を作る楽しさ、披露する喜びをたくさんの方に知ってもらえたら素晴らしいなと思う」
旅行に行った時の写真のようなもので、その時の思い出を残せるのがいいなと思う」
「歌詞を考える作業は、とても気持ちがこもる
「人の曲を借りるのではなく自分(たち)で曲をつくって言いたいことを言うというのは、表現の方法としてごく自然なこと」

著作権に縛られない

「現在のアマチュアアカペラ界隈において、著作権に対する意識はかなり曖昧
「オリジナル曲を作れば、著作権に縛られず自由にいろんなことができる
「アカペラのちゃんとしたレコーディング音源がほとんど無いのも、著作権の手続きがかなり面倒なため、カバー曲アルバムを容易に出せないのが一因」

現在のアカペラーで、
著作権を意識しながら活動している人はかなり少ないと思います。

サークルライブでも個人主催ライブでも、
またアカペラでも楽器でも、
カバー曲中心のライブである場合、
チケット代が発生する以上、
本来は著作権の問題が少なからず絡んできます。

かなりこの辺りの定義が曖昧になっているのがいまのアマチュア音楽です。

しかし、これに縛られないのがオリジナル曲です。
オリジナル曲の著作権は、紛れもなく作詞曲を手掛けた人自身にあります。

アカペラでオリジナルをやる“理由”

また、かなり多くいただいたのが、
アカペラでオリジナルをやる理由がないというものでした。

「そもそもアカペラでオリジナルをやる必要性がどこまであるのか」
「オリジナルをやりたいと思うひとは、わざわざアカペラを選ばない
原曲を表現したいというモチベーションでアカペラを選ぶひとは少ない」
「いまのアカペラ界にはオリジナル曲の需要はほとんど無い
「アマチュアでオリジナル曲をやる楽器バンドと、カバー曲がほとんどのアカペラライブだと、後者の方が圧倒的に集客力がある

このあたりでみなさんに共通していたのは、
アカペラにおいてのカバー曲とオリジナル曲の需要
オリジナル曲をどういう目的で演奏するか
という観点でした。

アカペラの音楽的面白さとは、
既存曲をアカペラ(無楽器形態)にしたときにどのようなアレンジになるか
という部分にあるので、
そもそもオリジナルを求められていない。

アカペラでオリジナル曲をやるからには、
少なくともアカペラである必要性がある曲を作らなければならない、
といった声が目立ちました。

プロ志向か否か

「基本的にアカペラは大学サークルから始める人が多く、その感覚で続けていると音楽性をより追求する、所謂プロ志向の人が出にくい
「音楽に夢を抱く人は、アカペラにはほぼ来ないor長居をしないため、わざわざアカペラでオリジナルを…とはならない」
「オリジナルをアカペラでやろうとすると、バンドメンバー全員が同じモチベーションである必要がかなり高くなる」
アカペラでメジャーデビューをしたい、という人たちが増えないことにはオリジナルをやるバンドが増えない」

プロ志向であるアカペラーがいまのアマチュアでどのくらいいるかわかりませんが、
多くの方は現状ほぼいないと考えているようです。

また、いたとしても、
アカペラ以外の音楽を選ぶ可能性の方が高いと感じている方が多いようです。

作曲者・編曲者のスキル

「オリジナル曲をやってもライブで盛り上がらないのは、知らない曲だからではなく曲の実力が低いから
「素人のオリジナル曲と音楽のプロが作ったヒット曲にはかなり差がある」
「アカペラのライブで評価される楽曲のクオリティに対して、肩を並べるクオリティのオリジナル曲を発表しないかぎり、ライブでは埋もれてしまう
「客の視点から考えると、まったく知らない曲を聴くことになる(アカペラの観客はオリジナルが演奏されることを予想していないし、それに慣れてもいない)」
「それなりにしっかりしたものが作れないと観客からの評価を得るのは厳しいかもしれない」

その他御意見

プレイヤーはプレイヤーに憧れるので“あの曲コピーしたい”という考えになる」
「アカペラのクリエイターは作詞曲よりも編曲に力を注ぐ
「アカペラ界隈でのオリジナルの異質さは『ハモネプ』の影響が大きい」
「ハモネプに憧れて『ハモネプ=アカペラ』というイメージでアカペラを始める人が圧倒的に多い」
アカペラコンテストの審査項目に「オリジナリティ」があったとしたら、オリジナル曲を出してきたら高い点をつけざるを得なくなってしまう」
「“アマチュアアカペラでオリジナル曲/アマチュアアカペラグループ”の総数は、本当に“アマチュア楽器バンドでオリジナル曲/アマチュア楽器バンド”の総数より少ないのかどうか」
「良くも悪くも、アカペラ界は常に『エモ(ーショナル)』を求められる場。そこでオリジナル曲が届けることのできる『エモ』の可能性はどのくらいあるのか」

再考してみる

課題

以上の意見を踏まえてもう一度
「アマチュアアカペラにおけるオリジナル曲」について考え直すと、
いくつかの長所と共に課題が見えてきます。

  • オリジナル曲自体にはかなり魅力は多い
  • 著作権に縛られないから自由にいろいろできる
  • プレイヤー中心であるアカペラという場所では需要が低い
  • 少数いるクリエイターも、スキルの面ではまだ成熟していない
  • 集客などの現実的な面から見ても、現在の環境でオリジナル曲を演奏するメリットはあまり大きくない

当然、課題の方が多いですよね。

感じたこと、気づいたこと

意見を聞いたみなさんが、
既にオリジナルの経験がある上で否定意見や懸念を言ってくださったということは、
やはりアマチュアアカペラでオリジナルを普及させるという試みは、
かなり険しい道なんだな、と感じました。

アカペラでオリジナル曲をやることの難しさを強く感じている人が多いんだな、と思いました。

また、気づいたこととして、
僕が常にクリエイター目線で話をしていたことがわかりました。

プレイヤー目線で言えば、
歌う曲がオリジナルかカバーかの違いは大きくなく、
どうせ歌うなら知ってる曲でみんなが盛り上がる曲の方がいい
という考えになるのは自然なことだな、とも思いました。

当然僕もプレイヤーなので、
楽曲の知名度を優先してカバー曲の選曲を行うことがありますし、
知名度が高い曲は同時にクオリティも保証されています

楽曲のクオリティという課題

いただいた意見の中で、僕がどうしても腑に落ちない部分がありました。
それは、楽曲のクオリティという点です。

現在のアカペラ界は、
楽曲のクオリティだけは保証されているステージが期待されます。

アカペラで何かをカバーして歌おうとするとき、
選択肢に上がるのは、すでに世に出ている曲です。

一般人で音楽業界にいるわけでもないアマチュアアカペラーが知っている曲は、
すでに世の中に発表され、なおかつその曲が利益(お金)を発生させているものが全てです。

その曲のクオリティによって、
少しでも人を動かし、
少しでもお金を動かすことができるということが保証されている曲しか、
我々は知らないわけです。

それをカバーしたバンドばかりが出演するライブは、
たとえ技術が未熟だとしても、
原曲にだけは担保があるという状況になります。

これがアカペラライブのスタンダードであり、
誰も疑問を持たないのが、僕はずっと納得いきませんでした。

高いクオリティの曲を書くスキルを持っている人がいない、
オリジナル曲のために高いクオリティのアカペラアレンジができる人がいない。
だからオリジナル曲は不利。

しかし、楽曲のクオリティがプロのものと劣る、と、
一蹴してしまう意見は、どうしても乱暴だと思うのです。

アカペラという音楽を少しでもやっている以上、
プレイヤーもクリエイターもアレンジャーも、音楽の素人ではないわけです。
アカペラについて、音楽についての知識経験は、
アカペラをやっていない、音楽をやっていない人よりは少なからず高いわけです。

この時点で、「素人の楽曲」という前提が崩れます。

さらに、「プロ」も、デビュー前から作詞曲の経験は積んでいたわけです。
それが認められて初めて「プロ」になるわけです。

楽曲がプロのものと劣るから、
アマチュアがオリジナルをやるのはどうなの?という意見は、
「プロ」への道を閉ざしているのと同義だと僕は思うのです。

もしこの意見がアカペラだけでなく、
音楽界全体の意見だとしたらどうでしょうか。

新人ミュージシャンなんてほとんど出てきません。

現にここ数年、プロを目指すアカペラグループは、
以前よりもどんどん減少していると聞きます。

楽曲のクオリティ、という点で、
より良いものを追求する必要はあっても、
未熟なものが淘汰される環境にあっては絶対にいけないと思うのです。

最後に

アマチュアアカペラにオリジナル曲を普及させるプロジェクトは、
ACAPPELLER.JP というオンラインアカペラサークルで進行中です。

まだまだ参加者を募集中です。

興味がある方は、是非ご連絡ください。

acappeller.jp/
twitter.com/vega_hanrock